肝臓の検査

GOT


GPT
これらはいずれも肝臓や心臓に多く含まれる酵素で、肝炎などで
細胞が破壊されると血液中に増加してきます。そのため一般的に
は肝炎の場合には肝臓の炎症の程度が強いほど高い値となりま
す。ただし、肝硬変の状態では逆にあまり高い値とならず、この値
が低いからといって安心できません。急性肝炎や劇症肝炎では数
千〜1万以上になることもありますし、慢性肝炎ではほぼ正常値の
人から数百の人まで様々です。肝硬変などを除いてはこの数値は
正常値に近いほどよい状態と言えますが、肝障害の評価はこの数
値だけでなく、ほかの血液検査や腹部エコーなどを含めて総合的
に評価すべきものです。とくにB型肝炎やC型肝炎ウイルスによる
慢性肝炎の人はこの数字にとらわれている方が多いように思いま
すが、小さな数字の変動に一喜一憂しないようにしましょう。また、
たとえ数値が正常値に近くても決して放置せず、かかりつけの先生
の指示にしたがってエコーなどの検査をきちんと受けておきましょう。
γ-GPT 特にアルコールによる肝障害と関係の深い項目です。胆汁のなが
れが悪いときや他の原因で肝障害があるときにも高くなりますが、
この項目だけが高値であればとくにアルコール性肝障害が疑われ
ます。飲酒習慣のあるひとでこの項目が高値であればまず2週間
アルコールを完全に止めてから再検査を受けてみてください。純粋
なアルコール性肝障害であれば必ずこの項目は改善しているはず
です。アルコール性の脂肪肝の状態になっていると少し下がるのに
時間がかかりますがそれでも必ず改善してきます。飲酒が全くない
のにこの項目が高ければ、胆汁の流れを妨げる状況がないか、薬
剤性肝障害などがないか、栄養過多による脂肪肝がないかなど他
の検査を進めます。
ALP 肝臓や骨、腎臓などに多く含まれる酵素で、これらの臓器の障害
で高くなりますが成長期の子どもでは骨の成長のために成人の3
倍くらいになっても異常ではありません。
LDH 心臓や肝臓、筋肉などに多く含まれる酵素で、心筋障害や肝障害
などで高値となります。ただし、関連するほかの検査項目がすべて
正常でこの項目だけが少し高いだけであれば、採血の際や採血後
に血液中の赤血球がすこしこわれただけで問題ないこともあります。
総蛋白

アルブミン
血漿中の蛋白の総量が総蛋白で栄養状態が悪いと低下します。
アルブミンはその中でも特に重要な成分で進行した慢性肝炎や
肝硬変では低下してきます。アルブミンが低くなりすぎるとむくみ
がでてきたり、腹水がたまったりすることもあります。アルブミン
は、栄養状態を調べる際の重要な指標であるとともに肝機能の
重要な指標でもあります。
HBs抗原



HCV抗体
B型肝炎ウイルスに現在感染している人はHBs抗原が陽性になり
ます。B型肝炎にかかっても治癒すればHBs抗原は陰性となり、
代わってHBs抗体が陽性となります。HCV抗体の抗体は感染抗
体といって現在HCVウイルスに感染していると陽性となります。
いずれのウイルスも主として血液を介して感染する慢性肝炎の原
因ウイルスの代表格です。これらの肝炎にはこの検査項目だけで
なく更に詳しい検査項目がありますから陽性の人は更に検査を進
めます。肝炎にかかると身体がだるいとか、食欲がなくなるものと
おもわれがちですが一般に肝臓病の症状として知られている症状
は、急性肝炎か肝硬変のときにみられるもので、通常の慢性肝炎
では無症状ですから症状がなくても決して放置しないでください。
毎日、慢性肝炎の人をエコーで検査していますが小さな肝臓ガン
がとてもよく見つかります。以前は肝臓ガンは見つかったらあと半
年の命と言われていましたが、検査機器が発達して微小肝ガン
が発見できるようになり、また肝動脈塞栓術やエタノール注入療
法、肝臓手術の進歩などで、早く発見しさえすれば肝臓ガンも決
して恐くありません。肝臓ガンに限らずすべての早期ガンは無症
状だということを忘れないで下さい。また、日本では肝硬変も肝臓
ガンもB型肝炎またはC型肝炎ウイルスの感染を受けていない人
に起こることはまずありません。
腹部エコー 別項でもご説明しますが肝臓・膵臓・腎臓・脾臓・胆嚢などの画像
診断に高解像度のエコ−(超音波検査)が登場するようになってか
らこれらの臓器の腫瘍(ガンなどの悪性腫瘍や血管腫などの良性
腫瘍)の早期発見が可能となりました。診断法と治療法の進歩に
より肝臓ガンの予後は飛躍的に改善し、当クリニックでもたくさんの
肝臓ガンの方が仕事をつづけながら通院しております。病状により
異なりますが、一般的には慢性肝炎や肝硬変の方は、3ヶ月に1
度は腹部エコーを受けるべきだと思います。